J-CIRCONによる危機段階判定
~「なんとなく不安」を数値化する~
日本を取り巻く脅威は多岐にわたります。
「でも、今はどのくらい危ないの?」「どのように対処すればよいの?」
「政府の公式発表やJアラートが発令されてから初めて行動するの?」
この問いに答えるために開発されたのが、本プロジェクトの中核となる独自の危機状況判定システム
通称【J-CIRCON(ジェイサーコン)】 日本民間危機管理システム/JAPAN-Civilian Incident Readiness Conditionです。
このシステムがどのように危機を判定し数値化しているのか(H-DTAM方式)、そして各フェーズにおいて私たちの生活に「どのような制限」や「不自由」が降りかかるのかを解説します。
1. 「常備・警戒・有事・回復」の4段階
J-CIRCONの内部システムでは、軍事的なDEFCONに準拠した詳細なレベル方式に、復旧期という独自のフェーズを含めた数段階のレベルで常時モニタリングを行っています。しかし、一般の方々へ発信する際は、あえて「常備・警戒・有事・回復」の4段階に集約して表示します。
【4段階に集約している理由】
軍事行動の決定においては細かな状況判定が必要になりますが、本システムはあくまで民間での「自身で判断して備え、対処する」ことを前提としています。
細かすぎるレベル表記は、かえって不安を煽ったり、政府が何らかの基準や国民保護法を発令した際に、本システムとの表現のズレによって混乱が生じたりすることを極力避ける必要があります。そのため、数値やレベルの表記ではなく、4段階の状態で表現することといたしました。
私たち、民間人に必要なのは、細かい分析結果ではなく、状況を俯瞰でとらえ「今、どういうモードで生活すべきか」を自身で判断することが重要となります。
そのため、J-CIRCONでは以下の4つのモード(フェーズ)で現状をお伝えします。
2. 各フェーズで想定される「社会的制限」と「リアル」
では、それぞれのフェーズになった時、私たちの自由や権利はどうなるのでしょうか。 具体的な「対策」を考える前に、まず「どのような不自由な状況に置かれるか」を知る必要があります。 過去の戦争や、日本の国民保護法、諸外国の事例を元にシミュレーションします。
■ READY(注意/常備)
状況: 平和に見えるが、水面下で緊張が続いている状態。
社会的影響:
- 特定の輸入品(半導体やレアアースを使った製品)の価格が高騰したり、納期が遅れ始める。
- 海外旅行は可能だが、一部の国への渡航注意勧告が出る。
■ SET(強化/警戒)
状況: 紛争の予兆が明確になり、グレーゾーン事態が進行中。
社会的影響:
- 金融: サイバー攻撃により、銀行ATMの一時停止や通信障害が頻発する可能性がある。
- 物流: 海上保険料の高騰により、輸入食品や燃料の価格が急騰。ガソリンスタンドに行列ができ始める。
- 移動: 海外出張や旅行の自粛が強く求められる。
■ ACT(非常/有事)
状況: 武力攻撃予測事態、または発生時。日本の法律(国民保護法など)が発動する段階。
社会的制限(ここが重要):
- 移動の自由の喪失: 民間航空機は全便運休。空港・港湾は閉鎖され、海外への脱出は不可能になる。海外にいる邦人は帰国便がなくなり、現地に取り残される。
- 財産権の制限: 自衛隊や米軍が活動するために、私有地や家屋、車両が強制的に使用・収用される場合がある(国民保護法による)。
- 資産凍結: 預金封鎖(引き出し制限)や、海外送金の停止(キャピタルフライト防止)が行われるリスクがある。
■ RECOVER(復旧/回復)
状況: 危機が去った、あるいは停戦後の混乱期。
社会的影響:
- 通貨の暴落: 日本円の価値が下がり、ハイパーインフレが起きる可能性がある。
- 行政サービスの遅延: 役所機能の麻痺により、罹災証明やパスポートの発行が数ヶ月〜年単位で停止する。
- 占領下の懸念(最悪の場合): 万が一、一部地域が他国の実効支配下に置かれた場合、日本のパスポートは効力を失い、身分を証明する手段がなくなる。
まとめ:不自由を知るから、準備ができる
このように、フェーズが進むにつれて、私たちが当たり前だと思っている「移動の自由」「お金を使う自由」「情報を得る自由」は段階的に制限されていきます。
特に「ACT(有事)」になってから海外へ逃げようとしても、物理的にも法的にも不可能です。
「SET(警戒)」の段階で何を判断するか、あるいは平時の「READY」の段階で何を準備しておくか。
この「時間的な猶予」と「判断のタイミング」をお知らせするのが、J-CIRCONの役割です。
出典: 内閣官房 国民保護ポータルサイト(武力攻撃事態等における国民の権利制限について)
出典: ウクライナ侵攻時における民間航空機の飛行禁止措置および出国制限の実例