施設・資産・IT

Assets & IT Protection

オフィスなどの物理的資産の防護と、事業の神経系である「IT・重要データ」を守り抜くための
災害復旧計画(IT-DRP)およびバックアップ戦略について解説します。

1. IT-DRP(IT災害復旧計画)の策定

現代のビジネスにおいて、ITシステムの停止は事業の死を意味します。
米国のReady.govや日本の経産省ガイドラインでは、BCPと連動した「IT-DRP(Disaster Recovery Plan)」の策定を強く推奨しています。

復旧目標の2つの指標(RTOとRPO)

すべてのシステムを「即時復旧」させるには莫大なコストがかかります。
事業影響度分析(BIA)に基づき、システムごとに「松・竹・梅」の優先順位をつけてください。

  • ⏱ RTO(目標復旧時間):
    「いつまでにシステムを再稼働させるか」。
    (例:販売管理は24時間以内、社内ポータルは1週間以内など)
  • 💾 RPO(目標復旧時点):
    「どの時点のデータまで戻せれば許容できるか」。
    (例:銀行なら0秒ロスなし、日報なら前日夜のバックアップでOKなど)

2. 鉄壁のバックアップ「3-2-1ルール」

データ消失の原因は、地震や火災などの物理的破壊だけではありません。ヒューマンエラーや、近年急増している「ランサムウェア(身代金ウイルス)」によるデータ暗号化も脅威です。
これらを守る世界共通の黄金律が「3-2-1ルール」です。

3-2-1バックアップの実践

  • 3️⃣ データは「3つ」持つ:
    「本番データ」に加え、「バックアップ」を2つ(合計3つ)作成する。
  • 2️⃣ 媒体は「2種類」使う:
    同じハードディスク内ではなく、「外付けHDD」と「クラウド」など、異なる種類のメディアに保存する。
  • 1️⃣ 「1つ」は遠隔地(オフライン)へ:
    被災による同時破損を防ぐため、1つは地理的に離れた場所(クラウド等)に置く。
    ※重要:ランサムウェア対策として、ネットワークから切り離された(エアギャップ)バックアップが最強の盾となります。

3. 重要書類・物理資産の防護

ITデータだけでなく、法的に原本保存が義務付けられている「紙の書類」や、事業の源泉である「在庫・設備」などの物理資産も守る必要があります。
「電子化」と「物理的防護」のハイブリッド管理が鍵となります。

書類・情報の管理

  • 積極的な電子化(PDF化):
    契約書、図面、権利証などは可能な限りスキャンしてクラウドへ保存します。原本が焼失しても「情報の内容」さえ残っていれば、事業再開のスピードは段違いに早くなります。
  • 原本の厳重保管:
    電子帳簿保存法などで原本保存が必要なものや、権利証などの重要書類は、耐火金庫や防水バッグに入れて保管します。ハザードマップを確認し、浸水想定エリアなら2階以上へ移動させます。

在庫・設備の浸水対策

  • パレットでの嵩上げ(かさあげ):
    倉庫の床に直置きしている在庫は、少しの水濡れで全滅します。パレットやラックを使って床から10〜20cm浮かせるだけで、被害を防げるケースが多くあります。
  • 防水シートの準備:
    スプリンクラーの誤作動や天井からの漏水に備え、主要な機械や在庫にはすぐに防水シートを掛けられる準備をしておきます。

4. ファシリティ(設備)・電源の防護

データや書類が無事でも、それらを使用するためのオフィス環境や電力が失われれば業務は停止します。

インフラ対策チェックリスト

  • 什器・サーバーの固定:
    複合機やサーバーラックは、震度7クラスでは凶器となって飛び回ります。壁や床へのアンカー固定、または免震装置の設置が必須です。
  • 電源の確保(UPSの限界を知る):
    UPS(無停電電源装置)は、あくまで「安全にシャットダウンするための時間(数分)」を稼ぐ装置です。
    停電下で長時間業務を継続するには、ポータブル電源や非常用発電機の備蓄が別途必要です。
  • 通信の多重化:
    光回線切断時に備え、モバイルルーター(5G/4G)や、可能であれば衛星通信(Starlink等)を予備回線として契約しておきます。
参考:IPA(情報処理推進機構)中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン

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以下の計画シートやチェックリストを印刷してご利用ください。

🏢 施設・資産チェックリスト

  • 施設・資産チェックリスト [準備中]

    キャビネット転倒防止、ガラス飛散防止、重要データのバックアップ状況確認リスト。

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