従業員向け
Survival Strategy
「訓練は面倒だ」と感じていませんか?
世界の事例と危機管理の本質から、訓練を「会社のため」ではなく「自分の生存戦略」に変えましょう。
1. マインドセット:Survival Strategy
「訓練は面倒だ」「やることが毎回同じで意味を感じない」。
多くの従業員の方がそう感じていますが、災害は繁忙期や重要な商談中を選ばずやってきます。
訓練は会社のマニュアルを守るための儀式ではありません。上司さえパニックになる極限状態で、「あなた自身が、誰の指示も待たずに即決して生き残るため」に行う、個人のための生存スキル演習です。
FEMA(米連邦緊急事態管理庁)の教え
"You are the help until help arrives."
(助けが来るまでは、あなたが救助者だ)
災害直後の空白の時間、行政や消防(公助)は機能しません。その時、誰があなたや同僚を助けるのか?
それは「現場にいるあなた」しかいません。
指示待ちの「Waiting」から、自ら動く「First Responder(初期対応者)」へ意識を切り替えましょう。
2. 世界標準の行動指針「Run, Hide, Fight」
日本の訓練は「校庭に集まって点呼」という受動的なものになりがちです。
一方、海外では個人の判断(Decision Making)を重視した訓練が行われています。
「火災なら避難」という固定観念を捨て、脅威(不審者・テロ・災害)に応じて行動を選択する、米国DHS(国土安全保障省)推奨のプロトコルを紹介します。
Run, Hide, Fight プロトコル
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Run(逃げる):
可能なら、荷物をすべて捨てて現場から離脱してください。他人を助ける余裕がなければ、まずは自分が逃げること。生存が最優先です。 -
Hide(隠れる / Lockdown):
逃げ道がない場合、部屋に入り、ドアをロックし、机などでバリケードを築き、電気を消して息を潜めます。
※日本では「とにかく外へ」と教わりますが、武装した不審者などがいる場合、外に出ることは死を意味します。「籠城」が正解となるケースを知ってください。 -
Fight(戦う):
生命の危険が迫った時の最終手段です。消火器、椅子、ハサミなど、手近なものを「武器」として使い、集団で抵抗します。
近隣諸国(韓国・台湾)の「身の安全確保」
隣接国の脅威がある地域では、空襲警報とともに地下鉄やシェルターへ飛び込む訓練(Shelter-in-Place)が社会全体で行われています。
これは「Jアラートが鳴った瞬間に、窓から離れて頭を守れるか?」という、反射神経レベルの判断力を養うものです。平和ボケを捨て、即応体制をイメージしてください。
3. 「やらされ仕事」から「ビジネススキル」へ
防災訓練で養われる「不測の事態での冷静な判断」「情報の取捨選択」「チーム内での連携」は、そのまま「トラブル対応力」や「リーダーシップ」といった高度なビジネススキルに直結します。
企業と従業員の「信頼関係」を守るために
発災時、最も不幸なのは「早く帰りたい従業員」と「それを止める会社」の対立です。事前に以下の背景を理解しておくことで、無用なストレスを回避できます。
Q. なぜ会社は帰してくれないの?
A. あなたを監禁したいわけではありません。
一斉帰宅は、駅での将棋倒し(群衆雪崩)や、落下物であなたが死ぬリスクを劇的に高めます。
会社が「待機」を命じるのは、安全配慮義務(あなたの命を守る法的責任)を全うするための防衛行動なのです。
Q. 訓練は何の役に立つの?
A. 災害時、上司もパニックになります。指示は来ません。
訓練をしておくことで、あなたは「指示待ち」で共倒れすることなく、自分と同僚を守るリーダーシップを発揮できるようになります。
4. メンタルOSの更新「Cooper's Code & OODA」
精神論ではなく、脳の処理速度を上げるための“技術”をインストールします。
危機時に生き残れる人は、気合ではなく「脳の使い方」が違います。
① Cooper's Color Code(意識レベル)
意識レベルは「気を張る」ことではなく、脳のモード切替です。
普段から Yellow(注意) を維持できるかが、生存率を大きく左右します。
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⚪ White(無防備):
歩きスマホ、イヤホンで周囲の音が聞こえない。
→ 危機に最初に巻き込まれる状態。できる限り避ける。 -
🟡 Yellow(注意)★推奨:
リラックスしつつ、周囲の“普通”を把握している状態。
→ 音、人の動き、出口の位置をぼんやり認識している。 -
🟠 Orange(警戒):
異常を察知し、危険源(ターゲット)を特定した状態。
→ 逃げ道・遮蔽物を決める段階。 -
⚫ Black(フリーズ):
思考停止。Whiteから急に危機に遭うと陥りやすい。
→ Yellowを習慣化することで防げる。
ミニワーク:
今のあなたの意識レベルはどれですか?
1日3回、White / Yellow / Orange / Black を自己チェックしてみましょう。
② OODA Loop(意思決定プロセス)
緊急時にPDCAは遅すぎます。
米空軍式の高速ループで「最初の10秒」を制します。
- Observe(観察):まず“見る”。音・匂い・人の動き・煙・振動を捉える。
- Orient(状況判断):何が普通で、何が異常かを判断する。出口・遮蔽物・危険物の位置を把握。
- Decide(意思決定):逃げる/隠れる/戦う/留まるを決める。不完全な情報でも決断する。
- Act(行動):決めたら即行動。行動した瞬間に再びObserveへ戻る(ループ)。
ケース演習:最初の10秒で何をする?
以下の状況で、あなたはどう動きますか?(30秒で回答)
・地震直後に火災報知器が鳴った
・不審者がフロアに侵入した
・停電で真っ暗になった
・エレベーターが突然停止した
→ 研修で非常に効果が高いワークです。
最後に:会社の訓練を、あなたの「生存戦略」に
今日学んだ「意識レベルの切り替え(Yellow Mode)」や「OODAループ」は、オフィスだけで使う業務マニュアルではありません。
通勤中の駅、休日のショッピングモール、そして自宅。災害は場所を選ばず、あなたとあなたの大切な人を襲います。
「会社で学んだ危機管理スキルで、家族を守れた」
そうなることが、この研修の真のゴールです。
「誰かが助けてくれる」のを待つのではなく、「助けが来るまで、自分が助ける(You are the help)」。
今日から、その意識を持って業務と日常に向き合っていきましょう。
プレッパー(Prepper)とは?
「プレッパー」という言葉を初めて聞く方も多いかもしれません。
アメリカでは、災害・停電・社会不安・テロ・パンデミックなどに備えて、
「自分と家族を72時間〜数週間、自力で生き延びられるよう準備する人々」を指します。
日本ではあまり知られていませんが、アメリカでは推計300万〜500万人がプレッパー文化に関わっていると言われています。
特別な人ではなく、医師・エンジニア・教師・経営者など、ごく普通の市民のライフスタイルの一つとして広がっています。
なぜアメリカでプレッパーが増えたのか?
背景には、アメリカ特有の事情があります。
・大規模停電(ブラックアウト)が頻発
・ハリケーン・山火事・竜巻などの自然災害
・テロ事件(9.11以降)
・広大な国土で「助けが来るまで時間がかかる」
・自助文化(Self-Reliance)が根付いている
つまり、「政府や消防がすぐ来るとは限らない」という現実が、プレッパー文化を育ててきました。
プレッパーは“極端な人”ではない
日本では「地下シェルターにこもる人」というイメージがありますが、現代のプレッパーはもっと現実的です。
シリコンバレーのCEOたちが実践するのは、恐怖ではなく
「準備があるからこそ、今日を安心して楽しめる」という前向きなリスク管理です。
プレッパーが実際にやっていること
・Bug Out Bag(72時間生存キット)の準備
・家族との連絡計画の作成
・自宅・職場の危険ポイントの把握
・最低限の自給スキル(水・食料・電源)の確保
・フェイクニュースに惑わされない情報リテラシー
どれも「極端なサバイバル」ではなく、生活の延長線上にある合理的な備えです。
プレッパー文化から学べること
プレッパーは「不安に怯える人」ではなく、“不安を減らし、人生の自由度を上げる人”です。
・準備があるから、焦らない
・訓練しているから、迷わない
・家族の計画があるから、安心できる
📄⬇ダウンロード用ツール⬇📄
以下の計画シートやチェックリストを印刷してご利用ください。
📢 教育・訓練ツール
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教育・訓練ツール(初動対応) [準備中]
発災直後の行動を役割別(対策本部長、消火班、誘導班など)に記載したカード。